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平成28年度 学位記授与式が挙行されました

3月18日(土)学位記授与式が行われました。

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共生科学部学士課程103名、大学院教育学研究科教育学専攻修士課程24名の合計127名に井上一学長より学位記が授与されました。

 

学長の告辞はこちらからご覧ください。

H28kokuji.pdf

 

平成28年度 星槎大学学位記授与式 学長告辞

 

 本日ここに、関係者の皆様方の御臨席のもとに、めでたく平成28年度星槎大学学位記授与式を挙行するに当たり、学位取得者の皆様、並びに御家族、御関係者の皆様方に、心からお慶びを申し上げます。また、星槎グループの本部がございます大磯町より中﨑久雄町長、大学本校が所在する箱根町小林恭一教育長、同町議会沖津弘幸議長、星槎大学の開学時にキャンパスを置かせていただきました芦別市より稲場厚一副市長、同市議会日沼昇光議長を始め、公私ともに大変ご多用の中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、日頃よりのご指導、ご鞭撻に心より感謝を申しあげます。

 

 本年度の学位取得者数は、共生科学部学士課程103名、大学院教育学研究科教育学専攻修士課程24名、計127名でございます。構成概要を申しますと、学部の平均年齢は36.7歳、研究科は50.2歳、70歳、80歳を超えて修了された学生もおります。在住都道府県は30都道府県にまたがります。10月入学生として昨年9月末に修了されている方が19名、この3月に修了された方が108名でございます。

 

 さて、学位取得者の皆様、本日は誠におめでとうございます。その道のりは決して容易なものではなかったでしょう。社会人としてご家庭やお仕事で多忙な中、学修に尽力された方も非常に多くいらっしゃいます。であるからこそ、皆様の学びは一層価値を有し、すでに最先端で活躍をされている皆様の活動を通じ、社会の改革に直結をするということです。そしてそれこそが星槎大学の意図するところです。

 

 時代の情勢に目を向けますと世界は益々混迷の一途をたどっております。昨年6月のイギリスがEUを脱退するいわゆるブレグジット、11月のアメリカ新大統領へのドナルド・トランプ氏の選出、北朝鮮の核を含めた軍備拡大と韓国の大統領の罷免、ヨーロッパにおける難民問題への立ち向かい方の変遷など、枚挙にいとまがない、これがここ数ヶ月の動きだろうかというように大きな動きが日常の中に流れ込んで来ています。

 

 冷戦時に始まる二極時代から一極、そして多極時代へと移り、次のステップとしての全員参加型世界秩序へ私たちは進んでいます。これは社会インフラが進み、相互依存が深まることによって逆に相互依存の過敏性が強くなるという一種のディレンマを含んでいる状況といえます。

 これは個人レベルでも国家レベルでも同じです。相互の依存や結びつきが強くなり、その中で個が強烈な自己主張をすることができるようになると、それによって逆に全体としてのガバナンスを失うという状況が起こっています。一つの亀裂が世界中を巻き込みかねないこの状況は、1648年に締結され、その後の世界の大前提であったウェストファリア条約に基づく体制の崩壊と捉える向きもあります。すなわち、ある程度安定的に存在しうる国民国家を主な登場人物として「国家の主権と内政不干渉」を原則とする世界秩序の終焉とも捉え直す必要があると解釈すべき時代になったという考えかたです。

 

 これからの世界は、私たちが今まで生きて来た世界とは全くと言って良いほど異なる様相を呈すると思われます。だからこそ、これからの社会において星槎の理念は重要度を増してくると考えます。

 

 星槎は「ホシ(星)のイカダ(槎)」です。星槎という名前に込められた想いは、他の星槎の理念のあちこちに表現されています。

 

 一つの意味は違いを超えて仲間になろうという視点です。木でできたイカダは一本一本が異なります。種類や取れた場所、節の数が違っても縄でゆわれて太平洋だって渡って行く力強さを手にすることができます。そこから人も同じであるという想いが込められていますが、「星槎の三つの約束」という言葉にも同じ想いが込められています。「人を排除しない、人を認める、仲間を作る」というこどもでもわかりやすい表現です。ですが、実践しようとするとこんなに難しい言葉はありません。難しいからこそ、胸に抱いておくことが重要であると思います。

 

 もう一つの星槎の意味は中国の故事によります。昔、中国において諸国が争っていた時期に見聞を広めたいという一心で、その智の欲求におされ鎖国の禁を破って諸国に遊学した若者がいました。その若者は旅先で自分の国が滅亡の危機に陥っていることを耳にすると、いてもたってもいられず祖国に戻ろうとします。しかし、禁を破っているので戻れば死刑が待っています。そこで位の高い僧侶に相談をしたところ、『中国に古くからある伝説の天空を旅するイカダに乗っていたのだ』という事にしなさいというアドバイスをもらい、その僧侶の手引きで無事に祖国の地をふみ、祖国を窮状から救ったという話です。これは星槎の「建学の精神」に「社会に必要とされることを創造し、常に新たな道を切り開き、それを成し遂げる」として表現され、「教育目標」として「困難な場面において、相手を想い、

笑顔と勇気を持って立ち向かう強い心の育成」などと表現されています。

 

 学部と研究科がその礎とする「共生科学」は、星槎が初めて社会に提唱した「共に生きることを科学する」という、日常に依拠した実践科学です。専門性はそれを礎として、事象の連関性を見抜くための叡智として非常に重要です。

 

 また、星槎創設者の宮澤保夫は、広く横たわり多岐にわたる分野を横断的に捉え直し、その関係分野、関わり、重なりを深く考察する事により、より一層の専門性を高めるための高等教育の一形態だと星槎大学を表現しました。 

 

 星槎大学で学修し、学位を取得された皆様にはぜひ実践の中でみなさんの学びを生かしていただきたいと存じます。それぞれのやり方でできる範囲で構いませんから、倦まず弛まずに共に生きることを実践的に科学し続けていただきたいと希望します。

 

 星槎が提唱する共感理解教育、あるいは共感理解に基づく学びもまた、この理念のもとにあります。18世紀のイギリスにおける偉大な経済学者としてよく知られるアダム・スミスは、1776年に著した産業革命以降の経済学に大きな影響を与えた「国富論」において有名ですが、その17年前に「道徳感情論」という講義録を発表しています。人間性の社会的本質は人々が生きて、喜び、悲しみ、泣き、笑うという、すぐれて人間的な感情によって表され、そのような感情を自由に表現できる社会が新しい市民社会の基本原理であることが必要だと説いています。これはこうした人間的な感情は個々の人間に特有なものでも、その人にしか分からないという性質のものではなく、他の人々にとっても共通のものであってお互いに分かち合うことができるようなものである。文化や地域は超えてもここは理解し合えるものだということです。よって人と人が共に生きて行く上で、共感的に理解し合うことは全ての違いをも乗り越えていく大切な視点である。共感的に理解し、他者のために行動するという星槎の理念はこうしたことからも重要であると考えます。

 

 星槎は、民間で唯一、2020年のオリンピック・パラリンピックの事前キャンプの誘致を行なっています。主眼はアフリカのエリトリアやアジアのブータンなど、複数の国に対してスポーツを通じた青少年の育成プログラムです。その一環としての2020年ですので、星槎はその前も後もこの活動をそれらの国において続けていきます。スポーツが娯楽に過ぎない国においても、今後の国づくりの過程の中で、相手を認め、ルールを尊重しながら自己を高めていくスポーツは重要な柱になるという認識を共有して、日本オリンピック委員会や外務省などのご理解、ご協力の元でサポートしています。星槎大学の本校である星槎箱根キャンパスと星槎レイクアリーナ箱根などの拠点を軸に複数の国のアスリートが共に生活し、それぞれの競技で活躍している様子を国籍の違いを超えて共に仲間として抱き合いながら喜び合いたい、共に悔しがりたい、そうした「オリパラ」のあり方があっても良いのではないかということを社会に問いたいと思っています。

 

 他者の立場に身を置いて理解し、行動するには強さが必要です。そしてその一つ一つの営みは小さくとも、その小さな明かりが街のあちこちで照らし出されていった時にはきっと大きなうねりを生み出すことができると信じています。そして実はそうした着実な変化のあり方こそが、今の世の中には必要であろうと考えます。誤解を恐れずに言えば、今の時代には「星槎」が必要なのです。組織とか、大学のことを言っているのではありません。創設者の宮澤が星槎に込めた想いを先ほど申し述べましたが、困難な場面においてこそ他者の為に行動することを厭わない、そうした心持ちが、いまこそ私たちの中に必要なのです。そしてそれは大きな声で発せられるというより、一人一人の小さな行動の中に静かに根付き、社会にしっかりと、しっとりと染み込んでいくものであってほしいと考えます。

 

 星槎とは社会を変える運動です。全ての学びは社会を変える為にあります。もっともっと笑顔が溢れるように、もっともっと生きることの意味が深められるように、社会を変えて行くためにあります。この当たり前のことを、当たり前にやっていく、そんな仲間で居たいと思います。星槎はみなさん一人一人が参加して形成される集合体です。星槎で学ぶ皆さんの力が必要です。私たちは星槎で繋がる、私たちは仲間だ、星槎も学び続けます、ですから皆さんも今後も学び続けていただきたいということを、改めて強調、確認をさせていただいて、私の学長告辞とさせていただきます。

 

本日は誠におめでとうございました。

 

平成29年3月 18日

星槎大学 学長 井上 一

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